『良寛 法華讃』

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『良寛 法華讃』

『良寛 法華讃』好評発売中

 発行年月日 令和元年5月20日

 著作権者  一般財団法人 良寛会

 監修    全国良寛会

 著者    東洋大学学長 竹村 牧男

 発行所   株式会社 春秋社

 規格    A4判

 ページ数  グラビア36ページ、本文191ページ

 定価    2,500円(税別)

『良寛 法華讃』の特色・内容

【特色】  

○ 解説を、禅学の泰斗、竹村牧男氏(東洋大学学長)が執筆

○序 の執筆は、泉田玉堂老師(大徳寺第五百三十世)

○ 4K・8Kといわれる解像度の優れたカメラでの撮影により、従来判読不明の文字も小島正芳氏によって解読

【内容】 (目次より)

○ 序 … 泉田玉堂 老師(大徳寺第五百三十世)

○ 序文… 長谷川義明(全国良寛会会長)

○ 良寛と「法華讃」… 小島正芳(一般財団法人良寛会理事長)

○ 『法華経』(サッダルマ・プンダリーカ・スートラ)について… 竹村牧男(東洋大学学長)

○ 「法華讃」解説…竹村牧男(東洋大学学長)

 「開口」から始まり、「常不軽(じょうふぎょう)菩薩品」、「観世音菩薩普門品」などの、法華経の二十八の各品ごとの「讃」をはさんで、「擱筆(かくひつ)」までの102の詩偈、及び著語(じゃくご)・下語(あぎょ)の訓み下し文、現代語訳、解説を記述。

 

良寛の『法華讃』とは

 良寛は備中(岡山県)玉島の円通寺で12年もの厳しい修行の後、師の国仙和尚から印可の偈(げ)を授かりました。その後も諸国行脚を行うなど、生涯修行を続け、仏教についての深い学識と高い境地を持つに至った優れた宗教者でした。 

 良寛は『正法眼蔵』を著した道元と同様に仏教経典の中では『法華経』を重視しました。良寛は、大悟徹底の禅者の視点で、『法華経』の二十八品に対する自己の見解を「讃」(内容をたたえる偈(宗教上の心境を詠んだ漢詩))として表現しました。それが良寛の『法華讃』です。

 良寛の『法華讃』は、高遠な禅の境地と、豊かな仏教学の学識を持つ良寛が、法華経の多彩な思想を偈によって明かしていくものであり、良寛の仏教思想の精髄ともいえるものです。

 近世禅門における機略の名匠原坦山(はらたんざん)は東京帝国大学に明治十二年(一八七九)印度哲学科が創設されたときの初代講師に招聘された人物です。その原坦山は良寛を「永平高祖(道元禅師)以来の巨匠なり」と称えたといわれます。玉木礼吉氏の『良寛全集』には次の様にあります。「原坦山、常に禅師を敬慕して措かず、其の法華品に題する「如是高著眼、千百経巻在者裏」の詩を読むに至り、瞿然(くぜん)として曰(い)わく、我朝仏学の蘊奥(うんのう)を究めし者、空海以来唯此人あるのみと」

 

『法華経』とは

 『法華経』は大乗仏教の代表的な経典です。大乗仏教とは、自利(己自身の悟り)に専心する小乗仏教とは異なり、四諦や十二因縁の教えより阿耨多羅三藐三菩(あのくたらさんみゃくさんぼだい)・無上正等覚(この上なく正しいさとり)を得て、利他(衆生済度)に励む菩薩の道を目指します。

 『法華経』は「序品第一」から「普賢菩薩勧発品第二十八」までの二十八品(章)から成り、「安楽行品第十四」までの前半を迹門(しゃくもん)、「従地涌出品第十五」からの後半を本門といいます。迹門の主題は一乗思想であり、本門の主題は久遠仏の思想です。法華経の三大特色は、宇宙の統一的真理(一乗妙法)、久遠の人格的生命(久遠釈迦)、現実の人間的活動(菩薩行道)といえます。

 道元は他の経典は方便にすぎず、『法華経』こそが「経典の大王」と言っています。