月のうさぎ

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命あるものを愛する │ 子供たちと遊ぶ │ 農民に寄り添って生きる │ 花や自然を愛する │ 月のうさぎ │

 良寛は愛とは自己犠牲を伴う献身的な愛を至高と考えていました。その思いを歌ったものとして、仏教説話を題材にした次の長歌があります。   

 月のうさぎをよめる

天雲の          向(むか)伏すきはみ         きはみ…果て
谷蟇(たにぐく)の   さ渡る底ひ            谷蟇…ひきがえる
国はしも        さはにあれども          さはに…多く
人はしも        あまたあれども
御ほとけの       生(あ)れます国の

開(あ)き方(かた)の そのいにしへの          開き方…開きはじめの時
ことなりし       猿(まし)とをさぎと       をさぎ…うさぎ
狐(きつに)とが       言(こと)を交(か)はして
朝(あした)には        野山に遊び   
ゆふべには       林に帰り

かくしつつ       年の経(へ)ぬれば
ひさかたの        天(あめ)の命(みこと)の    ひさかたの…天の枕詞
聞こしめし       偽(いつわり)り真(まこと)    
知らさむと        旅人(たびと)となりて
あしびきの       山行(ゆ)き野行き        あしびきの…山の枕詞

なづみ行き           食(を)し物あらば          なづみ…難渋して
賜(たま)へとて     尾花折り伏せ  
憩ひしに         猿は林の
上枝(ほつえ)より    木の実を摘みて 
参らせり         狐はやなの              やな…簗場

あたりより       魚(いを)をくはへて  
来りたり           をさぎは野べを
走れども        何も得ずして  
ありければ       汝(いまし)は心
もとなしと       戒(いまし)めければ          もとなし…十分でない

はかなしや       をさぎうからを          うから…仲間
たまくらく       猿は柴を           たまくらく…手招いて言う
刈りて来よ       狐はそれを
焼きてたべ       まけのまにまに         たべ…ください まけ…命令
なしつれば       炎に投げて

あたら身を       旅人の贄(にえ)と    あたら…惜しい 贄…捧げ物
なしにけり       旅人はそれを
見るからに       しなひうらぶれ           しなひ…萎(しお)れ
こひまろび       天を仰ぎて             こひまろび…転げ回り
よよとなき       土に倒れて   

ややありて       土うちたたき  
申すらく        汝(いまし)三人(みたりの)   
友だちに         勝り劣りを  
言はねども       我れはをさぎを 
めぐしとて       もとの姿に              めぐし…愛しい

身をなして       骸(から)をかかへて         骸…なきがら
ひさかたの        天つみ空を  
かき分けて       月の宮にぞ   
葬(ほふ)りける    しかしよりして  
栂(つが)の木の    いやつぎつぎに           栂の木の…つぎの枕詞

語りつぎ        言ひつぎ来り  
ひさかたの       月のをさぎと  
言ふことは       それがもとにて   
ありけりと       聞く我さへに  
白栲(たへ)の      衣の袖は              白栲の…衣の枕詞

とほりてぬれぬ