自省

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自省の歌

 良寛は無欲の心、慈愛の心を持ち続けるために、常に我が身を振り返り、自分の言動が適切であったか否かの自省を行うという努力を怠りませんでした。その自省の心を歌った歌があります。

いかにして 誠の道に かなひなむ 千とせのうちに ひと日なりとも
いかにして…何とかして 誠…仏法の真実 かなひなむ…ふさわしい行いをしたいものだ

何故に 家を出でしと 折りふしは 心に愧(は)ぢよ 墨染(すみぞめ)の袖

身をすてて 世をすくふ人も 在(ま)すものを 草の庵に ひまもとむとは

人の善悪(さが) 聞けばわが身を 咎(とが)めばや 人はわが身の 鏡なりけり

座右の銘

 良寛は次の言葉を、座右の銘としました。 
  「一生成香」 (一生香(こう)を成(な)せ)
 「生涯いい香りを発しながら生きよ」という、ある意味では、自分に対するきびしい戒めのことばです。この座右の銘によって、良寛は常に自分の心を奮い立たせていたのでしょう。一生努力して、清く正しく美しく生き、万人に慕われる人格者となった良寛はまさに「香を成した」のです。

戒語

 良寛は使ってはならない言葉を戒語(いましめことば)として、常に頭の中に箇条書きで整理して記憶していました。もちろん、時々は思い出して復唱していたでしょう。だから、親しい人に、それらの箇条書きを思い出して、書き出して、与えたのです。
 良寛は多くの戒語を残しています。例としてその一部分をあげます。
  戒語
 おだやかならぬは
   いくさのはなし
   騒動のはなし
   くじ(公事)のはなし
   ふしぎのはなし
   あやしきはなし
   あらかじめもののよしあしいふ

 うるさきは
   ことばのおほき
   ことばあらそひ
   よしなきあげづらひ
   ものいひのくどき
   つけごとのおほき

 ひきごとのおほき
   たとへごとのかさなる
   おとしばなしのながき
   講釈のながき
   こざかしくものいふ
   かたおどけ
   興(きょう)なきおどけ
   めづらしきはなしもあまりかさなる
   かへらぬ事をいつまでもいふ
   ひとつひとつかぞたててものいふ
   人のおもてを見てものいふ
   酒のみのことばのみだれがはしき
   いろいろのわけいふて人にものくるる

 ものいふて
   人のおもてをまもりてあいさつをまつ
   かたごと
   しひごと
   くりごと
   かげごと

 きのどくなものは
   ことばのたがふ
   はなをふごめかして世の中に人なしげにものいふ
   よくもしらぬ事を人にをしふる
   人のいふことはききもいれずわがいふことばかりいふ
   人のいふことをききとどけずしてあいさつする
   人の器量のありなしをとふ
   文のをしへやうのわろき
   引ごとのたがふ
   給仕のもののいふことをきかぬ
   使の人のことばをおとす
   おのがうぢのよきをかたる
   こどもをちやうしすぐる
    説法僧のこわいろ